zatsu_ten6の日記

ペンシルベニア在外研究、滞在日記

AI

さて、先の話にもつながることにAI、人工知能というものがある。

自分がこの分野よくわかっているわけではないが、全くの素人よりはましである。いくつか書籍も読んでいるし、学会に参加したこともある。息子はまさにそこをやっている情報系だ。日々何をしているかも見ていた。

 

よく言われているけれど、日本は遅れている。この10-20年の世界の技術的進歩、変化で顕著なのがコンピュータと情報通信に関わる分野であることは異論のないことかと思うが、ただ、各国においてずいぶんスタンスが異なるのは確かである。

 

インターネットを用いたあれやこれやで先進的な試みを果たし、ほぼ業界を牛耳っているのはご承知のようにアメリカであるが、スタンドアローンにしろネットにつながるにしろ、人工知能研究においても甚だしい差がある。これは日本で文科省などが計画的に予算を投入しなった点がひびいている。日本の研究は情報産業などの企業が面倒をみてくれる研究資金にも大きく依存している。もちろんいくつか大型予算をとってやっているものもあるが、シリコンバレーを見れば分かるように、少ない数か所に重点予算配分するというやり方はそもそもこの分野に必ずしも十分有効ではなく、小所帯のベンチャーが革新的な道を開くことがしばしばあるからだ。それも顕著に。

 

こういう小さな試みに莫大ではない、ちょっとした予算を与えれば「できていたかもしれない」ことを、ある意味日本では確信犯的に見殺し、野ざらしにしてきた20年である。

で、差は拡大した。社会の変化を見通す戦略眼が日本政府はないし、企業でも弱いからだ。

 

で、別にそういうことがいいたいわけでなく、例のごとき、心理学者であるから一般に人の偏見とか、AIイメージの方が気になる。

 

日本人の科学音痴の話はあちこちでしてきているし、その理由もいろいろ語っているが、コンピューター、人工知能に関わる変な「警戒心」みたいなものは非常に社会心理学的には興味深い研究対象だと思う。誰かちゃんとやってほしい。ものの言い方は悪くてポリティカリにコレクトが好きな人は眉をひそめるかもしれないが、あえて例えれば、土人が声の出るラジオを始めてみて恐怖に駆られて壊しているみたいなイメージ。 まぁ基本思想界では「日本人=土人説」というのが浅田の頃からあって、基本的にわたしはそれは正しい認識だと思っている。つまり日本は近代をさえ迎えていない。心理的にはアニミズムシャーマニズムのままだし、法や人権や政府というものをきちんと分かっていない社会だからだ。ちょっと考えれば誰もうなずく明白な事実だろう。

 

さて、日本土人はだから機械が怖いし、機械に支配されるような世界を怖れている。アニミズムだから機械にも魂をみちゃうからだ。機械をすぐに人格化してみちゃう。だから機械がウォーっと支配欲に駆られて人間を牛耳ってしまうというイメージ。ばかばかしいにもほどがある。

 

ふだんからせめてニュートンとか読んでればいいのだが、科学誌はぐんぐん落ちぶれて廃刊していったし、なかなか難しい。ときおりNHKが良質な番組をつくることがあるが、それに輪をかけて、砂丘の霊とかそんな話ばかりだ。

 

コンピュータなんかは今のところ基本的に電力でしか動かないので、警戒するなら電力管理すればいいだけだ。一定以上の電力振り分けには関与できないようにして、制限をきればいい。それを乗り越えるのはSFだけの話だ。回線が落ちるようにしておけばどうしようもない(将来電気は空中を飛ぶが、入口を遮断できる)。

 

そうすれば、もし仮に仮に、電磁波だけで人間の脳に直接、外的に働きかけができるようになったとしても(今ほぼできる、接触型だけど)、一定以上できないようにできる。もちろんそもそもそういう仕掛けをつくろうという動機づけがないからそうした設計がなされないだろう。

 

もっと今の現実的なところに戻れば、「人工知能」は現時点でそれほど素晴らしくないし、しょせん「相談相手」なだけだ。手際よく上手に情報をまとめてくれる優秀な助手ないし、秘書がいて、それをもとに意思決定する。つまり「決定支援ツール」だ。そういう研究はいっぱい今ある。人間の意思決定をシミュレートする研究だって大事なこと全部を任せっぱなしにするのではなく、全部決定支援の話だ。

 

部屋の温度設定なんて今でもサーモスタットがやっているけど、ノールック家電なんてそこから毛の生えたようなものだ。便利と感じるか迷惑と思うか人それぞれと思うが。

 

政治への一番簡単な導入方法は選挙区の区割りだ。政治家が自分の選出基盤を議論して決められるはずがない。こういうのこそ外注すべきだ。法律つくってAIにやらせればいい。もっともこんな簡単なものはAIも不要で、普通にアルゴリズム書いて学部生でもできる簡単なコードで選挙区割りなんかできちゃう。2日あればできるのではないか。さっさと全員それに従えばいい。事情なんて関係ない。一人一票の基本的人権にかかわる重大事項だからだ(特に衆議院)。

 

だから、他の予算の重要な配分とか、社会保障のシミュレートをたくさんやって、コストベネフィット示しながらメニューを出せばいい。官僚たちが長い時間をかけて、報告書みたいにまとめているものがさっとできる。官僚はプログラミングに対してそれを助言する、つまり必要な変数の指摘と意味みたいな。

 

それで世間の間違いはコンピュータだと一律のひとつの簡単な解答しか用意できないとの思い込み。そんなんならとうてい人間の能力越えようもないでしょう。これは政治が今のところ意思決定しないと仕方ないが地方分権のあり方。権利さえ認められれば自治体ごとに選択がまったく違ってもいい。制度を複雑にしたら「たいへんだ」と思うのは、人間だけだから、国レベルで一律化する必要もないし、それぞれの自治体にあったように出力を出せばいい。コンピュータこそが複雑でまちまちな地方分権を支えられるのだ。極端な話、税制が違ってもいい。国税庁の役人がいちいちそろばんはじく必要ないのだから。「税制が違う」というと語弊があるかもしれないが、自治体によって複雑な条件分けがあっていいということで、今だって青色申告がそもそも「存在する」ということ自体恣意的なわけで、複数の税制があるようなものだ。心理統計的に言えば、調整変数のある複雑なモデルをコンピュータは簡単に用意できますよということ。しかも必要があれば自動的にリアルタイムに変動できる。変動しなくてもいい。どっちもできるし、変動させる時期を年単位にするかどうかも自在だ。だから自動的に税率を変化させることだって(法が許せば)簡単だ。

 

成果のパフォーマンスさえ定義できれば、働く者の年俸の設定の自動化だってできる。教員なんかの場合、そのパフォーマンスの定義自体が難しいが、論文書くことで優遇されることは強く反対される根拠はない。分野ごとの微調整はあっていい。

 

機械なんて所詮、電源落とせば止められるという基本的なことをみんな忘れているのではないか。むしろ地震や停電であっさり止まったりしない安全策を考える方がずっと重要だ。わたしは分散型の方がいいと思うが、もしでっかい「マザー」みたいのがあったら、高度大気上で核爆発されて、電気回路がぶっとびまくるような事態でも影響受けない深度地下においておくとかね。分散マシンもそれぞれ適当な地下の方がいいと思うけど、日本は地震があるから、埋めれば「絶対」ということではないよね、そこからマグマが噴出さないとも限らないから。やはり強いのは分散ですよね。当然人工衛星にも置いといていいし。

 

こういう政策支援マシン(すぐ今できるものについては)でないようなロボット君みたいなのは遊びみたいなもんだから、趣味やQOL上昇に役立つ分にはてきとーに導入すればいい。日本では人工知能というとすぐにアトムみたいなロボット君を思い浮かべるという阿呆が多いけど、社会的重大性に鑑みればそれほど致命的に大きい分野ではない。阿呆が阿呆なことまでやらせようとすると事故ると思うけど。散歩支援とか無理だよね。これは人工知能学事典の方に書きました。

いったいいつ出版刊行されるのか・・・!?

 

人工知能は怖くない。神でも悪魔でもない。