zatsu_ten6の日記

ペンシルベニア在外研究、滞在日記

平穏無事

確かにさしてパッとした目立ついいことは何もなかったが、最悪なことも何もなかった。免許とれなかったくらいで、今はでもどうでもいい。差し迫って必要なものでもこれもないから。

 

春の課題としては英語をやる、論文を読む、書くとか、要するにどこでだってできるわけだ。ここでなくてはならないという必然性の薄さがある。探し方もそうだ。先にNYUが決まっていてJohnがサバティカルだから春をつなぎで探した。比較的にNYに近いところで慣れようと考えたのだ。結局NY4回くらいしか行っていないが。

 

しかし、日本で家の引っ越しもいっぱいしたし、5年前に職場も変わった。思うのは、それまで「当たり前」で普段気づかない貴重なことがあり、それが「ない」「うまくいかない」という状況になるととたんにえらく不自由を感じたり、腹立たしくなるというケース。

 

たとえばホテルのバスで「お湯が出ない」というケースを想定したらそれに近いものがあると思う。出てくれて当然と思っていたら出なくて突然困るとか。

 

家でも恵まれた環境とか引っ越した後にかえって「あの点は恵まれていたなぁ」とか痛切に気づいて思ったりする。

 

だから起こらなかった良い事と悪い事を思わなくてはならないと思う。ここではそういう感じで普段から気づきはするようにしていたが、大事な点。

 

1.ネットがほとんど落ちなかった。

 3回くらい調子悪くなったことがあったが、下で機械の立ち上げをやり直したら回復した。ほぼ常に安定して快適なネット環境は保持できた。論文検索他情報検索とか、こうしたブログとか、音楽聞くとか、映画見るとかあらゆる用途にネットは使われるから、これはとても大事な要素だったと思う。特にAirbnbは民間だからその差はあってサービスが悪いケースにあたると大変だから、その点ラッキーだった。

2.研究室が使えた。

 書いたように当初は心理学棟工事でどうなるか分からないという話だったが、ケイティさんの研究室が個人でフル活用できた。ものが少なく、悪いけどいっぱい自分のもの置いちゃったし、使い勝手のよい研究室だった。(まだいるから過去形で言うのはなんだが)

 ついでに研究室の階に使いやすいトイレとキッチンがあったのもアメニティを高めた。コーヒー飲まないと仕事できないし。このあたりは本当大学によってまちまち。たとえばK大は研究室のなかに水道(洗面台)があるのが良いところ。

 

3.街が安全。

 来る前想定していたよりもずっと良好な住宅街に住むことができて安心して暮らせた。さして歩きはしないが気持ち良い大きな樹々が青々とあり環境快適。火事も起こらなかった。カレッジ近いがうるさくなかった。静かな環境を保てるのは重要。犬が吠えるくらいでこれは慣れ。

 

4.虫がいない

 そろそろこれから発生するのかとも思うが、最近うらのゴミ捨て周りにハエが飛んでいるので。カリフォルニアを経験していた身にとっては、警戒していたPest Control(バルサンとか)全く必要なかった。ベッドに寝るたびに虫に刺されていたらおちおち生活していられないだろう。そして寝心地のよいベッドだった。きっと悪いベッドにあたるとそこで、「あ~、あれはよかったなぁ!」と痛切に感じる件だと思う。合わないのだと腰が痛くなったりするし。

 

5.サニタリー、アメニティ

 タオル、シーツ、トレペなどを自分で気にする必要がない。ホテルだとより頻繁に変えるのがうるさいし、ベッドメイクがあるとちょっと盗難予防に片付けておかねばならない。純粋にアパート借りるとそれも自分で洗濯したり、買って来ないといけない。大物は洗うのが面倒、運ぶのも面倒だが、ここでは定期的に交換してくれる。ベッドメイクはもちろん自分でするが。そういう点あまり好きでない掃除とかを気に掛ける必要がなかった。

 

6.気温

 基本寒かったのだが、総じてコストベネフィットで見ると、食べ物が腐らない点がよく、特にあたって体調を崩すことがなかった。夜食べた残りをそのまま朝まで放置して食べても平気。暖房が必要なほどでもなかったし、暑くなってからはエアコンが入ったので適宜部屋を冷やしておける。食べ物について常温好きの自分としては最良の環境と言えた。悪い事が起こらなかった最大の点は自分が「病気にならなかった」ということだろう。この年になれば本当にこれは冗談ではない。幸いだった。

 

7.車

 車の件で不満はなくはないが、最も大事なのは事故らなかったことである。若いころはコンスタントにつかまっていたり、ぶつけられたり(なぜかぶつけるよりぶつけられる)経験数でいえば、あっておかしくない。サンタバーバラでも後ろから追突された。そういうこと起こるととても面倒だともう分かっているから結構慎重に運転していたこともあるが、こればかりは人様の動きに影響されるわけだから、小さな事故さえ全く起こらなかったのは幸いである。

 

8.悪いスタッフがいない

 あまり経験したことがないので、比較できないかもしれないが、もっと何か最悪の事態を想定すると、すごいイヤな奴がいたり、面倒な院生につかまったり、人間関係上のトラブルは起こらないとは限らない。今回薄い仕事上の付き合いしかしていないから確率も低まってはいるが、良心的な方々、もっと言えば普通程度以上にまじめな方々の多い大学であり、まじめで実直な気風はトラブルを防ぐにも有効であったろう。それをあまり「面白くない」と言いすぎるのはぜいたくでよくないかもしれない。もちろん長くいればいろいろ裏があるかもだが、こちらは短期の表面で十分であるし、そこがある意味アメリカのよいところだ。外に出る振る舞いこそが意志であり、尊重されるべき部分だからだ。過剰な忖度はいらない。

 

9.文献

 アメリカの主要な大学だったらみんなそうで、ここでなけりゃってこともないかもしれないが、逆に小さい大学だから予算的に・・・とかそういう心配はなかった。日本では雑誌購入費用が図書委員会で頻繁に話題になるご時世でうかうかしていられないが、ここで自分が必要とするものが読めない、ダウンロードできないなんてことはなかった。

 

10.食べ物、買い物

 ひどい食生活だとブログを見ておられた方は思われたかもしれないが、自分的にはOK.最大のよかった点はスーパーにサラダバーがあることだったが、始め覚悟していたような毎日ハンバーガーかサンドイッチ、ピザみたいなことにはならなくて、適宜買い物してやっていけた。思った以上にあちこちに中華の店が多かったのも便利だった。ショッピングセンターやモールは充実していたし、食べ物以外でもDollar Treeとか一ドルショップは役立った。

 わりに来てすぐさっとプリンターを安い値段で買えたのもよかった。今日、研究室に持って行った、時計、コーヒーメーカー、電気スタンドは必要、有用な3点セットであった。

 

ということで、悪くなかった10点くらいを挙げてみた。他にもあるだろう。なにせクリスチャンだし、感謝の気持ちは忘れないようにしなきゃだ。

 

この部屋での最後の夜。