zatsu_ten6の日記

ペンシルベニア在外研究、滞在日記

4分の3の人は・・・

自民が国会の質問時間割合のことではしたないことを言い始めたようですね。まぁあんだけめちゃくちゃやってて、首相もある程度議席減ることも覚悟して選挙して、それで(野党分裂があったとしても)これだけの議席数得られたら(別段野党が林立する状況は今後そうは変わらないし、むしろ「希望」みたいなくさびを打ち込まれたら、実質「野党」でまとまることができなくなるかもだし)、「もう何したって国民は承認してくれて平気なんだ」と思ってもおかしくない。

 

普通の神経でもそう思って、奢っておかしくないと思いますよ。

 

で、そうなるのは小選挙区制のせいだと。これが細川・河野のハト派二名の合意で成立した選挙制度とは全くもって皮肉なことだ。

 

中選挙区制で幅を利かせていた自民党内派閥政治がじわじわ後退し、官邸か幹事長かそのときに強い者が決める党公認調整という一本化で議員が縛り上げられて、官邸が強い場合は政権に物も言えなくなってしまうと。これで結果的にだが、ハト派の方がじり貧して非主流だった清和会が政権を担い続けることでどんどん勢力拡張して第1派閥となり、現在も牛耳っているというのは本当に歴史はどう展開するか分からないものだ。

 

いずれにしろ、与党に有利な選挙制度がこの圧倒的な議席数の中で容易に変更できるはずもないので、ちょっと考えてみた。

 

今回の投票率が53.68%で、たとえば自民の比例得票率は33.2%、かけ算すると17%くらい。小選挙区では25%だという。これを立憲支持者や共産党やマスコミの一部が、25%の支持で75%の議席!!と言って批判している。

 

それはそうなんだし、民主主義の基本である国会議員選挙で、民意が正しく反映されないのは大問題で木村なんかが言うようにもっと比例代表部分を増やすとかの改善した方がいいのは本当にそう。

 

だけど・・変にそのあたりいい気になって勘違いしない方がよいと思う。これはとても「都合のよい」計算だ。

 

なぜなら、「棄権」した、投票に行かなかった者の多くは、報道で自民大勝という予測を知り、それでいいやと思って、じゃあ自分は投票しなくても・・わざわざ雨の中・・とかかもしれない。そこまで意識的でなくても、潜在態度研究者としては、本気で「意識的に」この状況をどうにかしてやろうと思っている人はだいたい投票したはずで、考えないとか情報を知ろうとしない層というのは、大体現状肯定、今でまぁいいし・・・と思っていると考えた方がいい。

 

今、SJの論文読んでいるが、社会変化、集合行為(抗議とか)への参加という最終従属変数の論文だ。Study2では現実に実験室でその場でチラシ何枚持っていくかとか署名するかで測定している。署名するとかは1,0変数でロジスティック回帰をしているわけだが、変化を起こす行動をするかvsしないかで物事を測定したら・・・・

 

たとえば立憲や共産に投票するのでなければ、「棄権」って「社会を変える方に(憲法改正的に言えば変えない方でややこしいが)行動しなかった」という従属測度0の方ですよね。

 

だから潜在支持層、このままでまぁいい層、今死ぬわけでないから、政治に興味がない層。全部これ「現状の支持層」と捉えればどういう景色が見えるか?

 

やってみた。投票率は53.68%。

比例の得票率は、立憲19.8、社民1.6、共産7.8。これが明確に野党共闘などで安倍政権的なものの存続に異を唱えた勢力。安倍的方向を補完、支持するのが希望と維新。ただ、今選挙後、あまりに希望ネイティブが当選せず、旧民進党員だらけで小池が批判されている現況を見ると本当にそのまま盲目的に憲法改正自民案にまるごと賛成するのかとか、他の政策でも対応が不透明だ。

 

とりあえず、でも 53.68%×(19.8+1.6+7.8)=15.67だから、意識的に批判的に行動した(大地は分からん)のは16%ということだ。

 

裏を返せば、国民有権者の84%はまぁこのままでいいんじゃないのという意見、おおざっぱだが・・。 驚くよね。すごいでしょ。

これ、本当にまじめに考えた方がいいと思うよ、リベラルの人たちとか。

 

まぁ今の希望の党の動きもあるし、投票時点では有権者が「希望の党」の中身をよくわからず、小池さんは安倍さんを批判しているらしいと思って、「批判票のつもりで希望に投票する」という悲しい行動をしている場合も想定は可能であるし、人によってそれほど右でもない個々の旧民進党議員を地元でずっと応援していた後援会の方々が、比例も希望と書いた(復活当選のため)ということも勘案したら、希望入れたらどうなの? と。

 

希望の党は得票率17.3%なので、有権者からの割合は9.3%。まぁおおまけでこの9%を引けば、84-9=75%

 

びっくりしたぁ!! このモノ言わない棄権者の潜在的消極的支持(あずまんのなんやかやはあったけど、まあほぼ無視できる数だろう)を含めてしまえば、国民の4分の3は「現政権のあり方」を支持しているってことでないの! 議席が与党4分の3で合ってるじゃん(いやいやいや制度的には・・・・問題が・・・)。でも「国民の潜在的民意」というか雰囲気で言えば、そうとっぴな議席配分でもなく、国民の大人(在住外国人ものぞいて「国民」と言っているわけだが日本では)は75%が政権支持!!

 

まぁ確かに考えてみれば、貧困度も深刻になったとは言え、あした死ぬというような状況の人はまぁわりあい少なくて、昨日までの生活がまた明日起きても続いて・・・みたいなことで、内戦状態にもテロ頻発状態にもないそこそこ食うもんあるこの日本で「政治に関心持たなくても死なない」という感じで、別に「政治やりたい人に任せときゃいいじゃん、面倒くさいし、ご苦労さん!!」みたいな考えが、多くても驚いてはいけないのかもしれない。

 

さすが、民主主義や国民の権利について、世界的に特殊な意識を有している西洋世界の人たちからしたら、あり得ない状態かもしれないが、「政治はおかみにおまかせ」というのは、中国も韓国も北朝鮮も日本もそうであって、東アジアのいわば「普遍的な」国家観ですもんんね。デモが有効とかいう政治的有効性感覚は今は韓国の方が高いだろうし、台湾も香港も・・。日本では「民衆」が政権を転覆したなんてことは2000年の間一度もないわけだから(そういう意味では石川のの一向宗はすごい、やはり宗教!)、「そんなこと想像できない」「あるはずない」と思ってもおかしくない。

 

国民の4分の3は積極的、あるいは消極的に、これまでの政治にさして不満を抱いていない(これから何が起きるかは知らないだけかもだが)。まあでも内閣不支持率を見たら40%以上あったりするから、そのほんとかどうか分からない(顕在測定だから)40%のうち、多く見積もっても25%にあたる部分(40%のなかの6割、いや態度未定、NAの人が票入れているかもだがもちろん)が実際の投票として批判票を入れていると、これは全体の投票率からみてももっともな感じであるが、入れなかった4割の人も本当に強い態度で「実は不支持」なのかわたしはちょっと信用しないですね。まぁ今回創価学会のある部分が白票などで現政権の下駄の雪状態の公明党を批判しているという話はあるが、数字的に大勢は変わらないだろう。

 

ってことで、84%がまじ、好戦的な日本に共感して、日本の北朝鮮化をまじに支持して、反対する人を「非国民!」と呼び始めるなら・・・・「難民申請」できたらいいなぁ。グリーンカードとるのはたいへんだけど、ちゃんと難民になって「日本から出ていけ、非国民~」で追い出されたら、ヨーロッパあたりであとの一生暮らすのも楽しいかもしれない。(ため息)